願わくば、いつまでもこのままで
第5章 市民プール
現在11時20分。中央公園。
俺は公園の入口で佇む2人の前で
スピードにのっていた自転車を急ブレーキさせた。
急いでいたせいで体力の消耗が激しかったらしく
つい肩で息をした。
「はぁはぁ……悪い、遅れた」
俺は2人を見上げた。
梶木は苦笑いしながら俺を見ていたが
その横にいる園田は
腕を組んで俺を静かに睨んでいた。
「……遅い」
園田の遠慮ない睨みが俺に突き刺さる。
……園田って、ここまで怖い女だったっけ?
俺の額に
暑さとは関係ない冷や汗が垂れた。
「えっと……園田、さん?」
つい恐怖から口調が丁寧になる。
「遅いって言ってるの。
今何分か分かってる?
あんた、20分も遅れたんだからね」
「ご、ごめんなさい…」
「それで……」
園田の視線が
俺の後ろに乗っている比奈ちゃんに移った。
「その子、誰?」
園田は俺へやったように比奈ちゃんを睨んだ。
比奈ちゃんは園田のその視線に怯え
俺の服の裾をぎゅっと掴む。
「おい園田!
お前初対面の人をそんなに睨むなよ」
俺が注意すると
園田はまたもや俺を睨んできた。
こ、怖っ……
その園田の肩を後ろから梶木が掴んだ。
「園田、陽が言ってることは正しいから。
その顔やめな」
「……わかった」
しぶしぶ了解した園田は
あの超怖い顔をやめてくれたが
それでも軽く比奈ちゃんを睨んでいる。
てか、なんで比奈ちゃんを……
「でも陽。
俺も園田もその人知らないんだけど、誰?」
梶木は俺と比奈ちゃんを交互に見た。
「あの、私は……」
そう自己紹介しようとした比奈ちゃんの口を俺の手で塞いだ。
比奈ちゃんは驚いたように俺を見る。
俺は園田と梶木に比奈ちゃんを紹介した。
「この子は神崎比奈。
俺の……彼女、だ。」
「えっ!!?」
「陽の恋人!?」
「ちょっと、陽君!?」
園田は目を丸くしてフリーズし、
梶木は驚きながら比奈ちゃんを観察するように見、
その比奈ちゃんは焦る様な目で俺を見た。
すんません、比奈ちゃん。