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願わくば、いつまでもこのままで

第7章 キスしたい


都立の図書館に入ると、建物の木造の匂いが微かに漂っていて心地よかった。



シンと静まり返っている図書館内は

小さな誰かの話し声と
誰かが勉強しているペンを走らす音と
本をめくる音と

小さな音が少しだけ重なっていた。



「来てよかった……」



久しぶりに図書館という場所に来て、私は初めて来たかのように心を躍らせる。

「何かに集中する」という目的に対して
思っていた以上の効果にびっくりもした。




きれいに並んだ大きな本棚にはビッシリと本が敷き詰められている。

話題の本はそれとは別に
受付近くの目立つコーナーに置かれている。


私はその中から最近気になっていた小説を手に取った。


お気に入りの作家が書いたもので
映画化したものが今夏上映している話題沸騰作。


ついその場で立ち読みしそうになったが

慌てて近くの大きなテーブルの席についた。



ドキドキワクワクを自身に感じながら
私は最初の1ページをゆっくりとめくった。


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