願わくば、いつまでもこのままで
第7章 キスしたい
「はあ……凄く良かった…」
感嘆の声を漏らしながら本を閉じた。
さすがだな…映画も観たいなー……
読み終わった小説にうっとり。
私はそのせいで顔がニヤけるのを止められずにいる。
しばらくして、私はまだあの男の人がいることに気がついた。
その人は私が小説を読む前から変わらず机に突っ伏している。
私から少し離れたとこにいるその人に、気になって近づいてみた。
もしかして……やっぱり……
「……スー……スー……」
気持ちよさそうな寝息は、彼が寝ていることを明らかにしてくれた。
「あらら」
男の人の顔の下には書きかけのノートと
その近くにはペンが転がっている。
学生であることは明らかだ。
好奇心で見に来たものだから、
私はすぐに本棚へ向かおうとした。
だがその前に、彼が寝返りをうった。
「…ん……」
起きたのかと思い振り返ると
見えた顔はメガネをかけた陽君だった。
よっ、陽君!!!??
私は驚きで出そうになった声を抑えるため、咄嗟に手を口に当てる。
おかげで声は出なかったものの
眼が大きく見開いた。
なんでっ…こんなとこに!!?
うそでしょ!
そんな、せっかく忘れていたのにー!!