願わくば、いつまでもこのままで
第7章 キスしたい
「あー、えっと……その……」
何を話せばいい?
今この前のことを聞くべきなのか??
俺の態度でか、比奈ちゃんも緊張したように体を強張らせ、視線が宙に浮いていた。
「あの、どうしよ…
…それじゃあ陽君、私もう帰るね」
「ばいばい」と言って比奈ちゃんは俺に背を向ける。
俺は咄嗟に比奈ちゃんの手首を掴んだ。
比奈ちゃんは見開いた眼で俺を見た。
「えっと……」
比奈ちゃんを引き止めたものの、俺はまだどうすればいいのか分からずじまい。
でも、ここで比奈ちゃんを帰しちゃいけない
俺は別に兄貴から比奈ちゃんを奪いたいわけじゃない
実らないことを覚悟して好きでいるから
でもたまには義弟としてでいいから
傍にいたい
でもここで別れたら
次からずっと気まずさで前みたいに一緒にいられなくなる
それだけは、嫌なんだ
「……陽君?」
何か、比奈ちゃんをひきとめる理由を……
「あの、さ……」
視界の端に映ったのは、俺が図書館に来た理由
______これだ!
「比奈ちゃん今日暇?」
「暇じゃないけど……2、3時間は大丈夫」
「じゃあさ、できればでいいんだけど
勉強教えてくれない?」
比奈ちゃんは俺の必至の顔を見て
クスッと笑った。
「……うん、いいよ」