テキストサイズ

籠の中のお姫様

第3章 縮まらない距離

「じゃ、私は行くから。二人とも仲よくね!!」

「あっ、ちょっ!!母さん!」

…この子、よく見ると可愛いな。

短い髪で栗色の髪を揺らせている横顔は、まるでお姫様みたいで…


「何っ?」

「え?」

「いや、なんかめっちゃガン見してたから」


「ごめんなさい。綺麗だなーと思って…」

「ああ、知ってる」

「あ、はい」

「いろんな人に言われてきたもん」

「そ、そうなんですか…」

…自慢?なのかな

「でも、いくらいろんな人に可愛いって言われても、一番言われたい人に言われなきゃ意味ないのにね。全然ほめ言葉じゃないっての。」


「マキノさんは、好きな人いるんですか?」


「…いる。つか、キノでいいし。」

「あ、じゃあキノは、その人のこと、好きなんですか?」


「そうだよ、昔からずっと、片思い」



そういったキノの顔は、とてもきれいで、穏やかで、これが、恋してる人の顔なんだなーって思った。

でも、どこか寂しそう…。


「羨ましいです、そうゆう気持ちになれるの」


「あんたは好きな人いないの?」

「私今までだれかを好きになったことないんです」

…それどころか、心も許すことができない。

「へー、でも恋って、苦しいよ」

「・・・苦しくても、そうゆう思いを、私も経験してみたい。私は、あなたが羨ましいです。」


「…クレハだっけ?なんか変わってんね。そんな直球に言われたの初めて。そういうやつ好きだよ」

「ありがとう、ございます」


「別に敬語じゃなくていいって。たぶん同い年だし」

「はい」


「ほらー、言ったそばから敬語だし」


「あ、ほんとだ」

「ははっ、よろしくな、クレハ」


「うん。よろしく、キノ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ