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籠の中のお姫様

第1章 知らない人たち

ピアノを終わらし、部屋に帰ろうとした時、母様に呼ばれた。


母様は、テーブルにつくと、テーブルの上にあるワインを一口飲み、ゆっくりと話し出した。


「クレハは今日で16歳ですね」

「はい」


母様は、そっと自分の首にしてあったネックレスを外すと、

「これは、この国に代々伝わっているものです。王女であることの証。貴女に、これを預けます。」

「…ありがとうございます」

母様は、ネックレスを箱の中へしまい、私のほうへ差し出した。
キラキラ光るネックレスを自分の首につけると、

少し、大人になったような気がした。

「それは大切なものです。絶対になくしてはいけませんよ」


「はい」


「それと、あなたはもう結婚のできる歳になったので、3日後に結婚式を行います。」


「…っ!」

どういうこと?


「西国のルーク様よ。よく知っているでしょう?」


「はい…」


忘れるはずない。


…あの人と結婚なんて…。


「しかし、あの方とはっ…」

「なんですか?」


「…あの方は、私のことを嫌っておられます」


「関係ありません。ルーク様も了解しておいでです。いいですか、3日後よ。準備しておきなさい。」


「・・・はい」

母様は、言い終えると、素早く部屋の戻っていった。


あの人には、何を言っても無駄。
そんなことは16年も一緒にいればわかる。

あの人は、私の言うことなんて聞いてくれない

それでも、あの人と結婚したくない。






・・・これは、いい機会なのかもしれない。


決められた道から抜け出す、きっかれなのかもしれない。

城から抜け出せば、私は、自由になれるのだろうか。



それは思いつきだった。


今まで、ここから出るなんて思ったことなかった



だけど、もし、出ることができるなら…。



――私は、この窮屈な世界から、抜け出したい

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