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籠の中のお姫様

第1章 知らない人たち

逃げるなら、みんなが寝てる夜がいい。


その日、夜になるのをひたすら待ち、物音がしないのを確認すると、あらかじめ用意しておいた鞄を持った。

ゆっくりと歩き、なるべく音をたてないようにドアを開けた。


ドアを開けると、待ってましたと言わんばかりにルナが立っていた。



「どこに行かれるのですか?」


「ちょっと散歩に」

「こんな夜中に大きなカバンを持ってですか?」


「それは…」


「城を、出て行かれるのでしょう?」

「…」

「城を出れたとして、どうなさるおつもりなのですか?行くところなどないはずでしょう?」

「それでも、私は、ルーク様と結婚なんてしたくないのもう、嫌なの」

悲しい。真っ暗の、箱の中にいるような気分の日々。

なのに、涙は流れない


表情を失った、

操り人形のような自分を、私は変えたかったのかもしれない


「…それなら、一人で勝手に行かないでください。・・・どうか、私も連れて行ってください。」

消えてしまいそうな、悲しそうな声で、そういった。

反対されると思っていたから、予想外の言葉に驚いた。

「…でも、そんなことして見つかればやめさせられるだけじゃ済まないのよ。」


「それは、クレハ様も同じでしょう?かまいません。お願いします!」


「・・・無理よ」


「・・・。そう、ですか…。ならば、少しでも手伝わさせてください。」

「手伝う?手伝ってくれるの?」

「はい。この城を出るには、ここの道をまっすぐ行ったところにある古いドアのところまで行ってください。隠し部屋なっています。あ、少し待っていてください。」


少しすると何かを持って戻ってきた。

「ここに服や食べ物があります。もっていってください。それから…」

まるで、はじめから出ていくことを知っていたかのように必要なものがそろっていた。

「ルナ、ありがとう」

「少ししたら戻ってきてくださいね…」

「うん」


それからルナにたくさんのアドバイスをもらい、隠し部屋へと向かった。


外へと出て、ルナに言ったほうがいいと言われた北に向かった。


夜中だけあって外は真っ暗だった。


それでも、だれもいない道をまっすぐと進んでいった。









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