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CROW―二つの魂―

第2章 恋人

だが、雪と出会い、雪の優しさ、想いに触れていく うちに自分の為すべき事がはっきりとわかった。

それはこの命を賭けてでも、雪の笑顔を守り、愛 する者が住むこの京に蔓延る(はびこる)悪を斬 る剣となり、弱き人々を守る盾となる。

そのために今も、新撰組零番隊という暗殺部隊に 身を置き、夜毎、法では裁けぬ悪人や、人々を苦 しめる幕府の役人を斬っている。

この玖郎の愚直なまでの、まっすぐな想いは、九 郎の心にも同居しており、思春期の彼には、恥ず かしさで身悶えさせるには充分であった。

だが、それは照れるべき事であっただろうか?

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