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CROW―二つの魂―

第1章 第一部:若き戦士の覚醒

朝食を食べ終え、大急ぎで家を出発、走ったかい もあって、なんとか朝の電車に間に合った。

ちょうどホームに電車が滑り込んできたところ だった

ドアの端に寄りかかり、九郎は今朝の夢のことを 考えていた。

ボーっと窓の外の空を眺める。

(こっちの世界とは何かが違う)

どうしてもあの夢と現実を比べてしまう自分がい る。

(……っていやいや、あれは夢なんだって。現実と 比べちゃいけないって!でも……妙にリアリティの ある夢だよな)

設定だけ考えれば、どこがリアリティなんだよ と、自分で自分をツッコミたくなるなる内容だ。

小柄な剣士が変わった剣法で、大男を斬り伏せる 話なんて、マンガにしたって陳腐にも程がある

(買うかな?やっぱりイラスト次第だけど……っ て、そうじゃなくて)

リアルなのは、手触りだ。あるいは香りであり、 そして自分がここにいるという認識だ。

あの夢を見ている間、感じるすべてのことが、真 にせまっている。

だから、あれもまた現実なのではないかと、思え てくるのだ。

こことは違う、もう一つの現実。

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