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あの夏、隣にいた君へ

第1章 アルバム

【31】

あの夏、
君はベッドの上にいた。


予期せぬ病魔の再来に
僕は膝が震えた。

ガクガク、ガクガク……



取り戻したはずの
僕らの未来は

また
スルリと
手から滑り落ちた。


勢いを増す病魔の威力。
衰えゆく君の体力。


日に日に
君の命の灯は
小さく小さくなっていくのに


君は
前を見据えることを
忘れなかった。


朦朧とする意識の中で
君の口から出てくる言葉は

ただ、

僕のこの先を憂慮する
言葉だけだった。


荒い呼吸の中で
薄く白目をのぞかせて



啓太ノコトガ
心配ナノ……




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