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雪の華~Memories~【彼氏いない歴31年の私】

第3章 LessonⅢ 悪意ある噂

「怖ろしい話ね」
 輝にすれば、話の内容は、本人が聞いても笑ってしまいそうな事実とはおよそかけ離れたものだ。だから、怖ろしいというのは、話そのものではなく、事実がたった一日の中にそこまでねじ曲げられ社内中に広まっているという事態なのだけれど。
 紘子はどうやら別の意味に解釈したらしかった。
「本当に怖い話だわ。よりにもよって、あなたがそんな怖ろしいことをしでかすはずもないのに」
 しかしながら、この際、そんなことは些末な話だ。
「今日中には人事部長から呼び出しが来て、事の次第を事細かに訊ねられるかもしれないわ」
「その馬鹿げた噂話を人事部長が鵜呑みにすればね」

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