
ホストクラブの罠(不良総受け)
第13章 透吾vs大和
――大和視点――
クソ!!
胸くそがわりぃ!!
遅刻した俺が悪いけど、
なんでよりによって透吾さんと一緒なんだよ!
しかもなにげに顔とかちけぇし!
今日は俺にとって大事な日だっていうのに・・・
「大和、お前も離せ!なにどさくさにまぎれて抱き締めてんだよっ!!」
腕の中から瑠希さんのぬくもりが消える。
おもわず舌打ちしそうになるのを必死にこらえ平静を装う。
「瑠希さん、遅れてすんません。
行きましょ。」
「大和、今日はお前の誕生日らしいじゃないか。」
早々に立ち去ろうとした俺の背後から透吾さんが尋ねる。
「そうですけど。」
「俺も祝ってやる。」
「はぁ?結構です。
これから瑠希さんに祝ってもらうんで!」
「まぁそう言うな。人数は多い方が嬉しいだろ?なぁ、瑠希もそう思うだろ?」
透吾さんはチラリと瑠希さんに目配せする。
「あ、そうだな。お祝いだから人数多い方が大和も嬉しいよな?
あっ、でも自分の飯代は自分で出せよ!!俺は大和に奢る分しか用意してない!!」
「もちろんだ。
むしろ全部俺が払ってやる。」
「マジか!!ラッキ!!」
おい。
おいおいおい!!!!!
何勝手に話進めてんだよ!!
俺は瑠希さんとデートするつもりだったのに!!
瑠希さんも何のってんだよ!!
「おっし!!そうと決まれば行こうぜ!!」
笑顔で瑠希さんが言う。
はぁ・・・
もう好きにしてくれ。
俺の大きなため息も、
瑠希さんに届くことはなかった。
