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……どうしてこうなった?

第15章 優花の処女を捧げる日

橘はしばらくベッドで優花を抱いて、そして窓から帰っていった。


嘘でもいい。


嘘でもいいからベッドで抱きながら愛していると優花は言って欲しかった。


しかし橘はただ黙って優花を包み込むだけであった。


抱き寄せられても優花は橘がどんどん離れていくのを感じた。



小説や漫画ではこんなとき、幼馴染みのヒロインが逆転するものなのにな……


橘が去った部屋で独り、優花はそんな馬鹿げたことを感じていた。

でも実際の世の中は違う。

男は見慣れた幼馴染みなんかより、未知の美しい女性に魅力を感じる。


健気な幼馴染みなんてのは、脇役にすぎない。


なんだか視界がぼやけると感じた優花は、それが涙によるものだというのとに気付くまで、随分と時間がかかった。

絶対に泣かない。

そう決めて抱かれたはずなのに、優花は涙を止めることができなかった。

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