テキストサイズ

……どうしてこうなった?

第29章 不協和音

話は巧妙にすり替えられた。

大概の人は陸奥が泣き出してから話を聞き始めたため陸奥がなにかきついことを優花に言われたのかという程度しか認識が持てない。

更に陸奥の迫真の演技と、常日頃の品行方正な態度から判断し、同情の念さえ抱いてしまう。

更にまずいことには……

「ちょっと陸奥さん大丈夫っ!?」

マネージャーの先輩には陸奥と仲のよい三年女子がいた。

「ごめんなさい、里村さん……練習中にお騒がせしてしまって……私すぐに出ていきます……」

「いいのよ、陸奥さん。練習はもう終わったから」

三年の先輩マネージャーははっきりと言ってしまった。

『練習はもう終わった』と。

まるで誘導尋問のように、陸奥は里村からその言葉を引き出させた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ