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……どうしてこうなった?

第37章 放たれた狂獣

「私ですか?」

まさか自分の身の上に話題を振られるとは思っていなかった茅野は言葉を詰まらせる。

「どうしてそのようなことを?」

「別に理由はないです。ただ黙って歩くのも気持ち悪いなと思って」

優花は包み隠さず本音で喋る。

そんな隠し事のない性格は茅野も嫌いではなかった。

「私は十五才の時から陸奥家で勤めております」

「十五歳って!?」

「高校に入ってすぐ。今の葉月様と同じ年ですね」

「マジで? だってそれって……」

「うちの父も陸奥家で勤めさせていただいてます。その関係で十五歳から私も奉公させていただくことになったのです。当時まだ十歳だった佳奈美お嬢様の世話役の一人として」

少し誇らしげな表情になる茅野の横顔を優花は見ていた。



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