
見習い天使とコイスルオトメ
第5章 動き出す日常
学校に着くと、詩がもう席に座っていた。
あたしは昨日の出来事をふと思い出したが、気にせず詩におはよう!と言ってみた。
「……。」
「うたぁ~。大丈夫~?」
そういいながら詩の前で掌をひらひらしてみる。
「ん?なんだ、美音ぢゃん。おはよ。」
「なんだって、あんた…。どーしたの?詩がボーッとするなんて珍しい。」
「あー、ううん。なんもないんだ。ただちょっと寝不足なのかな?」
そう言って詩はごまかして笑った。
「詩…何かあるならちゃんと言ってね。あの頃とはあたし違うから…。」
そう言ってあたしは自分の席に着いた。
怖くて詩の顔は見れなかった。
