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キレーな顔した狼さん。

第13章 10匹目

「それは、ありがとうございます」

ニコニコ笑顔全開でお礼を言う瑠樹

あっ、俺も言わないと!
「あ、ありがとーございますっ」

瑠樹に続いて慌てて頭を下げる俺

「ま、いいってことよ!始めからそんな感じはしてたし…」

「えっ!?」

最後の方は小さくて聞き取れないぐらいだったが俺は聞こえた
…確かに聞こえた。

始めからって…

もの凄く気になる話の展開を瑠樹は少し低い声で制した

「で……」

「ん?」

湊さんの方を向いて話す瑠樹に、湊さんは首を傾けて聞き返す

「で、湊さんは見たんですか?汐里のアレ」

「うおいっ!!」

こいつ…そんな事、まだ言ってやがったのか!?

完全に油断してた俺は懇親の突っ込みを瑠樹へぶつけてやったが…勿論、効果は微塵も無い

「どーなんですか?」

依然、笑顔で続ける瑠樹

なんか怖い…

そんな瑠樹に湊さんは少し驚きながら答えた

「いや…ちょうどアンタの頭が邪魔で本体は見えて無いわよ?」

「ホントですか?」

「ホントよ。そんなんで嘘ついてどーすんのよ?」

「…そーですか。それは良かった。
見えてたらどーしよーかと…」

ゾッ…

湊さんと俺は同時に顔を引きつらせる

瑠樹の笑顔にここまで悪寒を覚えた事はこの時が始めてかもしれない…

-_-_-_-_-_現在に至る…

と…こんな事があった訳だ…

「まぁ、良いじゃん?湊さんは協力してくれるっつーんだし?」

ここまで普通でいられる瑠樹が心底羨ましい

「それよりさっ、次…どーする?
まだ帰るには早いでしょ?」

「あ、そーだな…」

ん~…これ以上、考えても仕方ないか…
まだ時間はあるし…どーしよ?

頭を切り替えて、首を捻っていると…
プップー

「ん?」

何処かで鳴らされたクラクションの音が、夕焼けに染まった街に鳴り響いた

「おにーちゃぁーーんっ」

「え?」

無意識にクラクションの鳴った方へ顔を向ける
すると、そこには真っ黒なリムジン……そして、昼間あったばかりの瑠花の姿が目に入った

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