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キレーな顔した狼さん。

第13章 10匹目

「だから、汐里さん。お兄ちゃん…少し借りますね。」

「え…」

今まで瑠樹の事を見ていた瑠花は、俺の方へ顔を向け、真剣な顔つきで言った

それに俺は、戸惑いの声しか上げられない

「汐里さん。いいですよね?」

俺から目を逸らさず、真っ直ぐ聞いてくる瑠花に、俺は…

「あ、ああ…」

としか言いようがなかった。

「はっ…何言ってんだよ、お前。
…汐里も、そんなに簡単に認め無いでよ…」

自嘲気味に笑って言う瑠樹

「あ…や、ちがっ」

そんな瑠樹を見て、酷く罪悪感に襲われた俺は、急いで弁解を試みた

「お兄ちゃん…そんな事、言っていいの?あの人……怒っちゃうよ?」

「くっ……」

でも、瑠花の言葉に書き消される俺の言葉

そして…瑠花の言葉に、瑠樹は悔しそうに顔を歪めた

え?…あの人?

きっと、俺独りが解らない。
俺独りが、もどかしい。

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