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キレーな顔した狼さん。

第14章 11匹目

ガチャ───…

「ただいま」

まだ誰も居ない家の扉を開ける

俺の声もただ、寂しく空気へ溶けていくだけ

「ふぅ…」

ゆっくりと息を吐く

何かもう、どーしたら良いのか解らない

はぁ…んだよ。瑠樹のやつ…
行くとか行かないとか…

…でも、一番ムカつくのは俺自信。

「はぁ…」

少し考えて、また、さっきとは違う溜め息を吐いた

茶の間に向かう廊下の途中で、ふと、
玄関を振り返る

今朝…ここを出るときは、あんなに楽しかったのに…

……あーーっ、やめだ止めっ!

ブンブンと首を振りながら、茶の間へ急いだ

──ボフッ

着いた途端、ソファに飛び込む。

カチ…カチ…

時計の音が静かな部屋に、やけに煩く響く

「………」

ピッ…

それを聞くのが嫌で、俺はリモコンでテレビに電源をいれた

ワッハハハ──

写ったテレビにはバラエティー番組特有の笑い声と芸人達の楽しそうな顔が…
…………って、はぁ!?

写ったテレビには、さっきまで俺がいた、カラオケ屋が…

なっなんでだ!?

そして、画面の右端には『街で噂のあのお店!』なんていうタイトルがある

「……っ」

俺はただ呆然と流れるテレビ画面を見つめる

『えー、最近"噂の"このカラオケ屋は、店員さんが美男、美女ばかりのうえっ…その人達が全員、コスプレをしてくれている!…という、まぁ…男女共に楽しめるお店な訳です!』

と、よくテレビで見る芸人がコメンテーターとして紹介している。

……へ、へぇ~…そーなんだ…
あ、そーいえば…湊さん…メイド服来てたっけ…?…だからか…

なんて、染々考えているうちに俺は
とんでも無い事に気付く

……!?
て事は…俺もヘルプ入ったら、こ、コスプレするっつーことかよ!?

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