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キレーな顔した狼さん。

第15章 12匹目

「恋の………味?」

自然とそう口にしていた。

こんな味、あったんだ…

「あら、汐里?
あんた…まだ居たの?」

洗濯物を持って洗面所に入って来た母さん。

「あ、ああ…ちょっとね。
もー行くよ。」

ついつい歯磨き粉を直視して固まっていた俺は、慌てて歯磨き粉を元の場所に戻した。

「じゃ、行ってきます」

洗面台の鏡をチラリと見て
口に歯磨き粉が付いてない事を確認する。

よしっ、大丈夫だよな…

「ええ、行ってらっしゃい」

母さんのその言葉を背に、
俺は洗面所を後にした────

──

「汐里先輩……
朝から可愛い事してくれるよね」

登校中、瑠樹が横目に俺を見ながら
そんな事を言ってきた。

……でたよ。

今日も瑠樹は、"可愛い"という、
男としては微妙なはずの言葉を俺に浴びせる。

…"可愛い"か…

俺も素直に…素直に……──

「─っ…か、可愛い訳あるかよっ
バーカッ」



…………

俺のバカああぁぁあぁーーっ!

何で素直になれねぇんだよ!

瑠樹に"可愛い"って言われるのは
…正直、嬉しいんだと思う。

"可愛い"ってのは、男としても、
先輩としても微妙だが、"恋人"としては…かなり嬉しい。

そりゃ、カッコイイとかも
たまには思われたいけど……

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