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キレーな顔した狼さん。

第15章 12匹目

なのに、動揺したのは俺だけだったのか、瑠樹は平然としている。

「る…瑠樹…?
お前…大丈夫なのか?」

そんな瑠樹が逆に心配で、
思わず瑠樹に小声で問いかけた。

「…汐里先輩?何がですか?
じゃ、チャイム鳴っちゃうのでそろそろ行きます!
では、またお昼に。」

俺の問いかけに、何事も無かった様に
そう言うと瑠樹はスタスタと校舎へ歩いていった。

あまりにも普通すぎる瑠樹の言動に、
俺も周りの生徒たちも

今のは聞き間違いか?

と、自分を疑うことしかできない。

あっ、お土産!
渡すの忘れてた…

昼ん時でいっか……

瑠樹の小さくなる後ろ姿を見ながら
そんな事を思っていた──

──1時間目の授業終了後。

「おいっ、汐里!
お前は見たか?」

「は?」

いつの間にか俺の向かいの席に座っているマサ(久し振りの登場です。将です。…覚えてますかね?)
の事を、俺は頬杖を付きながら見返した。

「だぁかぁらぁっ!
転校生だよ、転校生っ!」

「転校…生?」

「そっ!転校生!
1年に新しく来たらしいんだけど…
ちょーっ可愛いんだってよ!」

「へぇー」

マサの興奮気味のテンションに
俺は引きつつ聞き流す。

「っとに、興味なさそーだよな。
お前って。」

「興味?…別にそんなんじゃ…
つか、お前もいいのかよ?
彼女いんのにそんな話して。」

「あー、いんだよ!
アイツだって、よくあの人カッコイイとか言うし…」

俺のからかいに、マサは明らかに
拗ねてそっぽを向いた。

…ホントに彼女の事。
好きなんだなぁ…

マサのその姿を見て、
俺は染々と思う。

「それよりさぁっ!
その転校生がっ、何だっけな…あの
…んーと…1年のめっちゃキレイな顔の男の子……えっとぉ……」

「……え?」

「んーと……確かその子の「何がそれよりさぁっ!…なのよ」」

「うぇっ!?」

マサが次の言葉を口にしようとした、まさにその時。
マサの後ろから、誰かが割り込んできた。

その声に、マサは間抜けな声を出して
振り替える。

俺も反射的にその方向を見た。

「ゆ、友見…?」

その声の主を確認して、マサは恐る恐るその子の名前を呼んだ。

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