キレーな顔した狼さん。
第16章 12.5匹目
「何拗ねてんだよ…瑠樹」
さっきは満足そうに笑っていたはずの瑠樹が…
何故か、屋上についた途端に
また不機嫌になりだした。
先に腰を下ろした瑠樹の隣に、俺も柵によしかかって腰を下ろす。
「…別に」
なぁにが、別に。だ!
プイなんて顔を反らしてる時点で拗ねてるのなんて丸解りな訳で…
「…はぁ~
何なんだよ、もー」
俺は訳が解らず溜め息を吐いた。
「…汐里。」
「ん?」
弁当の箱を開こうとした時、横から掛けられた声に
やっと話す気になったか…と聞き返す。
「ここ座って。」
「…は?」
「だから、ここに座ってって。」
「い、嫌だよ!なんで、んなとこ…」
予想とは大分違った返答と、
瑠樹の"ここ"と指された場所に俺は
思わず呆気にとられる。
「ムッ…何でだよ…」
「な、何でっておまっ…」
瑠樹が座ってという場所…
それは…
「何で俺が、お前の脚の間に座んねえーといけねぇんだよっ!」
そう…それは、瑠樹の脚の間。
つまり、嫌でも体が密着するわけで…
瑠樹の体を背もたれにするわけで…
む、無理だろ!?
だって、あれだろ?
俺より大きい瑠樹に、俺はきっと包みこまれちゃうわけで…
ありえねぇーっ!
死ぬっ!絶対死ぬっ!!
恥ずか死ぬ!!!
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