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キレーな顔した狼さん。

第3章 2匹目

「…汐里…?」

「…え?」

突然呼ばれた自分の名に
飛んでいた思考が戻ってくる

「汐里っ!」
俺の名前を愛しそうにそう呼びながら
駆け寄ってくるのは

「…瑠樹…」
そう、それは今まで俺が避けに避けまくっていた瑠樹本人だった

俺は反射的に瑠樹に背中を向け、
気づいたら逃げようとしていた…が、

ガシッ
「うわっ」

「ちょ…はあ…はあ…もう逃がさねー…」

逃げようとした俺の腕を瑠樹は強く引いた

バンッ

瑠樹が俺を屋上にいれると手を離し勢いよく扉を締めた

「失敗だった…」

「…はあ?」

突然、瑠樹が呟いた言葉の意味が解らず俺は疑問の声をあげる

「汐里のケータイのアドレスも…番号も…聞くの忘れてた…」

「…そ…だな?」

ただならぬ負のオーラを発しながらゆっくりと近づいてくる瑠樹

「汐里が俺の事、避けるの何て安易に予想できたのに…」

「お、お前…ちょっと…怖い…ぞ?」
俺は顔をひきつらせながら一歩、また一歩と後退りをする

「ハハッ…怖い?」
笑いながらジリジリと俺との間を詰めてくる瑠樹

「…る、瑠樹?」

ガシャンっ
「えっ!?」

ついに柵まで追い詰められた

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