 
雨の中の君へ。
第5章 罪と罰。
涙が一筋だけ流れた。
…あんなに先生から聞きたかった言葉。
だけどタケルのことを考えている私。
気が付いたら朝だった。寝ていたというより、気を失っていたらしい。…会社…思いっきり遅刻だ。
…身体のあちこちが痛い。
先生が隣に腰掛けて私の頭をそっと撫でる。
「無理をさせてしまったね。」
かぁっと赤くなった。
「会社には私との打ち合わせということで金谷に連絡してもらってるよ。」
ベッドの脇を見ると新しい洋服が置いてある。
「結婚するの?」
…指輪をしている指をなぞられる。
「…多分。」
「人のモノになると思うと惜しく感じるのは人間の性かな。」
「先生が?…私を惜しいと思うの?」
意外だった。
「もちろん。気付かなかった?私がサキを愛していること。」
 
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