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第10章 フィクサー

ガチャっ!

重厚感のあるドアが空いた。
そこには中肉中背、鼻筋の通った上品な顔立ちをした白髪で初老のしっかりとしたイギリス紳士的なスーツを着た男性が杖をついて優しい笑顔で立っていた。


何故か弱々しい竹の杖だった。


「小松原先生、この度はありがとうございます。
以前お話ししましたエリカちゃんですよ。」

ママが先生に私を紹介した。

「ママの元で大変お世話になっておりますエリカです。未熟者ですが、何卒宜しくお願い致します。」

深く一礼した。

「エリカちゃん、小松原先生ご存じかしら?元外務省大臣で今は引退しているからOBかしら。」

いつも以上にご機嫌だった。

「ママから色々聞いてますよ。噂通り美しい、エリカさん好みですよ。」

優しい感じがしたが目の奥が怖かった。でも思った以上の大物で嬉しかった。

「流石に春でも夜は寒いですね、暖炉でも着けましょう。
さっ、お二人とも座って下さい。」

にっこりと笑って暖炉に火を着けた。
一気に温かくなった。

「先生、ごめんなさい。私これからお店なの、エリカちゃんは2、3日おやすみなさい。ゆっくりするのもいいわよ。」

「嬉しいわ、ママありがとうございます。」
ママと先生はアイコンタクトして部屋を出た。

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