好きな空間
第12章 私
「起きた?
あの後長椅子でぐっすり寝てたから、冷えると思ってベッドまで運んだんだ。
疲れてたんだね。」
そう、私は疲れているの。
「少々激し過ぎたかな。」
優しく微笑んで口づけをした。
ここにもカメラがあるだろう。
分からないふりをして見せつけるように彼に甘く深い口づけをして
「ありがとう、シャワー浴びてくるわ。
大丈夫よ、激しいの好きなの、もっと激しくして何もかも忘れさせて。」
笑顔で答えて、
名残惜しそうに見つめた。
「エリカ…」
彼は私をいとおしそうに見つめて
「一緒に入りたいよ。」
と私の手をひいては抱き締めたけど、それを振り払い。
「綺麗にして、鏡の前でお互い見えるようにしたいの。
暖炉のなかの炎のように燃えたいわ。」
この男もママも本当の私を知らない。
これが本当の私。