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あなたが消えない

第7章 完全に堕ちた

「一つ言っておきますよ。あなたとうちの妻は全くもって違う生き物ですよ。羨むだなんて、僕があなたを見て妻を恋しがってるとでも言いたいようだが、全然違う」

「あなたの言い方は失礼ですよ」

私は強気で逆らうと、

「あなたのが失礼ですよ」

言い返されて、また私は恥ずかしくなり黙った。

「仕方ないですねぇ、じゃあ何故僕があなたの挑発に手を出すのか、教えてあげますよ」

永津さんは私の腕を強く引っ張るから、

「いや!やめて!」

抵抗するが。

目を細めて私を見たかと思えば、笑って言った。

「あなたが僕を欲しがるからだ」

はぁっ?

「そっ、そんな事ない…」

私はその腕を振り払おうとしたが、永津さんは、 更に視線を強く合わて言った。

「こないだの出来事で、あなたは僕の言った通り自分から出向いて来た…それは何故?」

視線をそらせない。

その先の言葉に引き寄せられる。

「しっ…知りたくなったから」

私の心を読まれる前に、先に言われてしまう前に出た言葉だった。

「僕の何が知りたい?知ってどうするんですか?その意味は?」

永津さんは、焦らすようにわざと頭を傾げた。

「答えられないなら、僕が答えてあげますよ。あなたが知りたいのは、僕のキモチでしょ?そのキモチがむしろ欲しいんでしょ?」

「…!」

何も言い返せない。

私の耳元に、永津さんは自分の口元を近付けて言った。

「俺ノ事ガ好キダカラ…でしょ?」

私は、瞳孔が開いた。

ドクッ…ドクッ…ドクッ…!

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