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あなたが消えない

第1章 憂鬱な日々

翌朝、和男はいつもよりも早い時間に起きて、朝食も食べずに準備をして出掛けて行く。

おはようの言葉も言わずに、黙って勝手に出掛けて行く。

せめてお弁当でもと思って用意はするのだが。

「ランチする金くらいは有るから、今更いらん」

そう、冷たく言われてしまう。

夕食も独りで食べる。

メールが入り見ると、

『今夜は外食して帰るから、先に寝ていてくれ』

せっかく作ったのに。

私はテレビを付けて、不自然な程に大笑いをし、いかにも楽しんでますという雰囲気を作り、演じる。

けど…、何だか虚しい。

いやいや、めげないよ。

寂しくはない。

けど…、やっぱり虚しい。

窓を開けると、下の階から楽しそうな声がする。

そう言うのは、私にはしばらくはお預けって訳ね。

芝生が青く見えた。

眩しいくらいに。

だから、私はすぐに窓を閉めた。

「うぅ~、秋は肌寒いね」

独りごと、言ってみたりして。

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