
秘密の蜜は甘い
第4章 みんなの王子様
「おい鈴」
「んー?」
突然声が聞こえて、振り向けばリクが後ろにいた。いきなり喋りかけるからビックリしちゃったじゃないか。
あたしはリクを睨みつけた。
リクはバスケ部に所属していて、背番号5を付けている。深い意味は知らないけれど、聞いた話によると、一年生でこの番号をつけられた人は今までにいないとか。
それくらい凄いらしくて、『次期キャプテン』と噂される程らしい。
何か気にくわない。
邪魔するくせに。
っていうかさ…
あんたその格好って事は、
試合の途中なんじゃないの?
「お前いい加減中入れよ。また発作起こっても、知らねーぞ?」
「リクも今日試合じゃないの?」
「外は日光当たるから、
体育館来いよ」
体育館で今、試合をしているはず。
リクがここに居るということは、今は間の5分休憩なのかな?
「えー。だって体育館は
バスケ部の試合じゃん。
あたしお兄ちゃんが見たいんだもん!」
そう言うと、明かに不機嫌な顔をするリク。…何か怖いよ。
