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心から

第3章 心からの笑顔

「もう、謝らないでくれ…。
一人で…傷付かないでくれ…っ」

腕の中に居る彼女から
すすり泣く音が聞こえてきた。

「ごめん…なさい」

僕は栓を抜いたかのように大量の涙を流すユメの頭に
左手を置いた。

「やっと解ったんだ。
ユメの気持ちも、
自分の気持ちも」

そして頭を撫でた。

ユメはきっと
信じることが怖かったんだ。

信じることと裏切られることは
紙一重だから。

だから毎日違う人と
仲良くしていた。

誰か一人と向き合うことは信じることに値するから。

だけど、
ユメは僕と向かい合ってくれた。

僕の恋人になってくれた。

それに気付けなかった僕は
ずっと“恋人同士”という形に縛られて
彼女を信じることが出来なかった。

相手と向かい合おうとしていなかったのは
僕の方だったんだ。

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