WONDERな世界
第9章 WONDER LAND -EPISODE #8-
「やば…
止められそうにないかも」
片膝だけ悠が座っている椅子の隣に
乗せて、背凭れに手を置き自分の体を
支える。
「カイン、駄目。楓が外に居るから」
悠の頬に手を添え、唇を近付け、
キスをする寸前で止める。
「どうしても駄目?」
「駄目。契約が終わったら、ね?」
悠は俺の唇に人差し指を当てる。
まるで彼女は俺の小悪魔だ。
「わかった。でも、あと一回だけさせて」
人差し指を当てていた手を退かせ、
彼女の唇に重ねる。
彼女はすんなりと俺を受け入れ、
俺の首に腕を回す。
「カイン…も、駄目。
牙が、疼いて…」
甘い声で俺を制止させるが、悠の
"牙"が疼き血が呑みたくて、喉が
渇いているんだろう。