彼・彼女の言い分
第26章 優香と音々子の理由
『…優香クン…が…
謝る事はないよ………
人のモノを奪おうとした…罰だから……
……教授には…妊娠が解った時点で…別れ話をされたわ…
…奥さんと別れるつもりもないし…中絶を進めたのも彼…
…最悪…でしょ?』
遊ばれて…捨てられた…
ネネコさんは…
少し笑って…
泣いた…
『…私ね…優香クンを…勝手に自分と…重ねて…見てた…
きっと…私も優香クンの様に…傷つく…だから…
私だけでも……何も言わず…側にって……』
「ネネコさん…」
シーツを掴む手に…
力が入った………
『…自分が捨てられる、予行練習を…優香クンをつかってしてたのよ…最悪でしょ?いいように…優香クンを、利用してたのよ………』
だから…
会いたくなかったのか…
「…そっか…
僕は…ネネコさんの…役に立てたのかな?」
『・・・・・・』
大きな瞳から…
大粒の涙が…落ちる…
僕たちは…違いに…
知らない間に…依存しあっていた…
僕は…
ネネコさんがいたから…
ネネコさんは…
僕がいたから……
二人が愛し合うのに…
時間はかからなかった……
互いに…
必要とし合っていたのだから…
僕たちは大学を辞め…
カフェを開いた
元々コーヒーが好きで、独自にブレンドをしていたし、
コーヒーが苦手な千花ちゃんに『美味しい』と言わせたかった…
起動に乗るまで…時間はかかったが…
経営の才能は…
両親譲りらしい…