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赤い印

第9章 天文部×3 動く

「おはよう、佐倉さん。」

この声…!

自分で顔が青ざめるのが分かる。
指先が震えて振り返れない。

「長谷川。」
那貴が彼女の名前を呼び、
どこかに二人で消えた。

「杏樹、気にしなくていい。」
「う、ん…」
動悸がおさまらず胸を押さえる。

体が引き寄せられる。
温かな体温をシャツ越しに感じ、
私は目を閉じる。

「…、もう平気。」
「うん。」
胸がきゅっと締め付けられる、
「イッテキマス。」
「おう、行って来い。」

私は笑って、教室に向かった。

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