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赤い恋 ~sho sakurai~

第41章 君の声





結「…佐織?」

ケータイのディスプレイには『佐織』。


一瞬みんなのことが思い浮かぶ。

でもその考えは直ぐに違うと思い返した。
佐織は今この状況を知らないはずだし、みんなとの直接的な繋がりはないはず。

あったとしても翔ちゃんだけだし…。

とりあえず、電話が切れないうちに、私は通話ボタンを押して席を立つ。


結「…はい」

佐「あ、もしもし結衣?」


佐織の声は相変わらずの明るい声で何かを知ってたらこんな能天気な声ではないだろう。

ひとまず安心した私は佐織に用件を聞く。

佐「実は今ね、みんなに結婚式の写真渡してるんだけどまだ結衣だけ渡してないじゃない?出来れば今から会いたいんだけど…、今日これから出れそう?」

佐織はやっぱり明るい声でそう伝えた。


結「…うん…、わかった」

ほんとはみんなに会っちゃうかもしれないから、戻りたくないけど、これから行く宛もないし。

佐「じゃあ、駅前のファミレスね!」

じゃあねー、と言って電話は切れた。

まぁ、みんなは仕事かもしれないし、こんな昼間に出れる人たちでもないから。

大丈夫…かな。

私は店内に戻ってお財布を取り出す。

結「すいません、お勘定いいですか?」

「かしこまりました」
さっきの店員さんが素敵な笑顔でそう言ってくれた。




キャリーケースを引いて、駅に向かう。

切符を買ってホームへと入る。


もしかしたら、会っちゃうかもな。

満更、嫌な訳じゃないと思ってる自分がいる。

でも、会ったからといって今更どんな顔すればいいの?

私が一方的に家を出て、
みんなの電話もメールも無視し続けて。


今頃みんな呆れてるよ。

とことん馬鹿な私に。

もうどんな顔すればいいのかさえも分からないんだもの。



ホームに電子音が鳴り響いて、まもなく電車が来ることを伝える。


私は今、

何をするのが最適で、
これからどうすればいいのかなんて


まったく分からない。





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