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齟齬

第12章 12

紗智子の言葉は

僕の中へおもく沈んだ。



僕は疲れ切っていた。

ソファの座面に

投げ出した腕をあげることさえ

できないでいる。

頭に浮かんだ疑問がひとり

口をつく

「抜け出したい」


怒ったような目をして

紗智子は僕を睨んだ。


「それはあなたが自分自身で

 みつけなきゃ。

 探しているものしか見つけない。
 それが人間よ。

 退屈だなんて思わない事ね。」



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