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楽しいはずの最後の運動会は、
チカにとって苦痛以外の何者でもなかった。



もともと運動が苦手なチカ。


無理して出た短距離走はもちろんビリだったし、



3年生と合同の借り物競争では下級生の前で思いっきり転んでしまった。



一番楽しみにしていた６年生女子のマスゲームは
無理したせいで腹痛が悪化し
出場さえ出来なかった。





今は、ちょうどそのマスゲームが終わり
ミエたちが帰ってきたところだ。



みんなの演技は、チカには眩しすぎるくらい華やかだった。


参加したかったのに・・・と思うと悲しくて悔しくて泣けてくる。




「ミエ、ほら、６年男子の組体操が始るよ！」



元気付けるように、ミエが言う。


チカは暗い気持ちのまま
それをぼーっと眺めていた。


視線の先にはカイが居る。



裸足で、笑ったり顔をゆがめたりしながら
砂埃の中のカイは仲間と楽しそうに組体操をしている。



なんだか見ていられなくて
トイレを口実にチカは席を立った。