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赤い花~情欲の檻の中で~

第4章 MemoriesⅢ

「あら、こんばんは。お身体の具合はもう良いの?」
 しかし、美華子もだてに八年もOLをしていたわけではない。相手に合わせて礼儀を失さない程度に会話くらいはできる。
 向こうは美華子の本心などまるで気づいていないように、屈託ない笑みを返してくる。これには、いささか不人情な自分が申し訳なくなった。

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