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赤い花~情欲の檻の中で~

第4章 MemoriesⅢ

 祥吾は遥香が営業部長の娘であることを知った上で近づき、言葉巧みに誘惑した。
 そして、父である営業部長にも取り入り、二人の結婚を許して欲しいと申し出ていたのだ。営業部での祥吾の業績はけして悪くないし、社内での評判も上々だ。人当たりも良く、立場で人を区別しない公正な人物だとの評価も得ていた。もちろん、それはまったくの仮面にすぎず、素の彼は冷酷で計算高く狡賢い本性をまんまと隠していたわけである。

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