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赤い花~情欲の檻の中で~

第5章 終章~再びの砂漠にて~

 二度と咲かない花のために、最後の涙を砂に注ごう。私の想いとともに、この果てしなく続く熱砂の底深く赤い花を埋めるのだ。私が祥吾という男と過ごした三年間を象徴するのは、まさしく彼と永遠に別れた夜に見た花であった。花の葬送は、彼と過ごした青春の日々を悼み弔う意味もあった。
 そして、やがて、想い出は悠久の時と砂に呑み込まれ、地中深くに消えてゆく。

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