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赤い花~情欲の檻の中で~

第5章 終章~再びの砂漠にて~

―この場所より立ち入り禁止。
 と手書きで荒々しく記されている英文は半ば消えかかっている。
「ここからは死の砂漠だ。地元の人間でも滅多に一人では来ないのに、あんたみたいな外国人の若い娘がよく来たね」
 流ちょうな日本語に、私は眼を見開いた。
「日本の言葉が上手なのね」
 褒めると、男は少し照れたように笑う。もう二十歳は超しているだろうのに、初々しい笑顔は少年のようだ。

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