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赤い花~情欲の檻の中で~

第5章 終章~再びの砂漠にて~

 異国の若い男はまるで自分のことのように嬉しげに破顔する。
「そうそう、その調子。ほら、日本の諺で、笑う門には福が去る!」
 私は声を上げて笑った。
「それは違うわよ。笑う門には福来たる。去るっていうのは、いなくなることでしょ」
 こんなに笑ったのは久しぶりだ。彼は恨めしげに私を見ている。
「何もそんなに笑わなくても良いじゃないか」

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