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それでも、私は生きてきた

第53章 教えて

気が付けば、私はただ泣きじゃくりながら
身を滅ぼして生き抜いてしまった過程を、
ドミノ倒しをするかのように順番に話し続けていた。

母への怒り。
体を売り物にして生きる事を選んだ自分。
足のこと。
連絡をもらえなかった悲しさ。

感情的どころか、
感情の井戸は溢れかえり、喚きながら言葉の配列を並べて倒して並べて吐き出して…

壊れた井戸に溺れながらも、
逮捕されていたことだけは
言葉にしなかった。


クシャクシャになった自分の顔が情けなくて、
なのに
涙も鼻水も言葉もおさまらなかった。


景色を見ている暇も無く、
握りしめたジャージのズボンのシワだけが
視界に入っていた。

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