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それでも、私は生きてきた

第58章 小さなしあわせ

おはよ〜

ガラガラと玄関の扉が開く。

母が迎えに来た瞬間、
ビクッと体が反応した。

この幸せな風景が終わってしまうことが、
とても残酷に思えた。


祖母は、私が幼い頃からよく言っていた。

小さな幸せを大事にしないとなぁ。

小さな幸せ。
それは、まさに。

この風景だった。と、
祖母の言葉が頭の中を駆け巡っていた。


目の前にある幸せには気付かなかった。

遠のいた家族と呼べる存在。
家庭という名の風景。


叔父と祖母と共に、笑い合った1時間程度。
このささやかな時間が、
私が過去に見向きもしなかった幸せだったのだ。と。


心の涙は溢れかえっていた。

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