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それでも、私は生きてきた

第68章 この体は母親になれますか?

産みたい。の一言を、
ハッキリと言えなかった。


産めるなら…産みたいけど…。


ジドロモドロに、そう答えた記憶はある。


でも。



産みたいと言いながらも、

産めないだろう。と、私の中にこびり付いて離れなかった。





この体は、産ませてくれるだろうか。
この体は、赤ちゃんを抱かせてくれるだろうか。
この体は、子育てを私にさせてくれるだろうか。




彼の心配は、私の精神状態のようだったが、

私の中では、
精神状態よりも
足がどうなるか…
産んで、歩けない足になった時に
誰に頼れるだろうか。
自分で育てれるのだろうか。
育てられない体と判断されて、引き離されてしまうだろうか。




不安をよそに、
堕胎の話が増えていった。

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