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妹えっち!

第1章 仲のいい兄妹







 峰斗が小学校4年の時
 両親は仕事に専念すると決め、海外を転々と渡り歩くようになり月に1、2回しか帰らなくなった



 誤解のないように言っておくが決して愛されてないというわけではない



 どれだけ苦しい決断か
 誰のために働くのか
 生きていくためのお金は
 どこからくるのか

 幼い峰斗にもわかっていた



 固く唇を引き結ぶ父
 涙を流す母

 峰斗は泣いてしまっている妹の頭を抱きかかえた

 きっと寂しいのだろう
 当たり前だ
 峰斗とて、寂しい
 親が恋しい
 でも…



 守らなければと思った
 ぼくの事はいい

 妹の事だけは、妹だけは寂しい思いをしないように

 笑っていけるように



 ぼくは嘘つきだ
 ぼくは寂しいだけだ
 妹がいてよかったって思ってる
 一人じゃなくて
 救われた思いになってる

 暖かい妹の体温に
 じわじわと涙がこみ上げてくる

 大切な大切な妹
 大丈夫、ぼくが守ってあげる
 ぼくがぼくを捨てても
 璃乃だけは守ってあげる



 優しく頭を撫でた
 妹の頭を強く抱きしめる

 妹はすごい力でぼくの背骨が折れるくらい抱きしめて、ぼくの胸の中で一生分の涙を使って泣いた






 妹がその時ぼくをどう思ったかなんて

 ぼくには知る由もない






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