貧乳ヒメと書かない作家
第16章 黒幕
桐生は真っ白の原稿を万年筆のペン先でトントン叩いた。点々と意味の無いシミが出来た。
あれから何度かメール、電話をしたが、千春は一切音沙汰なしだった。
「つーか俺、彼氏かよ…」
浮気現場目撃されたみたいに思ったけど、よく考えたらただの仕事仲間みたいなもんじゃないか。
そもそも如月を部屋を入れたのだって俺が呼んだわけじゃないし、
如月がたまたまきて、たまたまお茶零してお風呂借りるって。したら千春が…。
「あほくさ!」
桐生はそのままゴロンと横になった。
あいつ、あの漫画家と一緒に仕事しろって言ってたけど、
こんな状況で俺がOKだしても機嫌直すとは思えないし、むしろ逆効果だよな。
俺にどうしろってんだよ!!
色々な女性を書いてきたけどやっぱり現実のはわかんねぇな。
あんなガキっぽい奴なのに。