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貧乳ヒメと書かない作家

第18章 流れ星キラリ

―――あれ。

桐生先生と風戸さん…。

何か話してどっか行っちゃったよ。

松田は一人茂みに取り残されてしまった。もちろん離れた所に渡来野も。



うーん。どうしようかな。


松田が半ば帰りたいと思い始めた時だった。

「松田さん?」

そう声を掛けたのは


「如月先生!?どうしてここに?」

如月は寝不足そうな表情で長い髪を上に持ち上げ団子にして、少しインクの匂いを漂わせていた。



「仕事してたら、さっき千春ちゃんから電話があったの。とらちゃんがなんかしたって言ってたけど」


先には混乱状態の渡来野。

渡来野がなんとしても守ろうとした如月がいる。


察しのいい松田は、この一言で自分のすべき事を察した。

しかしそれは松田自身にとって、精神的ダメージを伴うものだと言うことも。




だが

松田は迷わなかった。




「如月先生…実は…」



松田は渡来野が如月の過去をバラしたことをオブラートに包みつつ、さっきまでのことを話した。


如月は渡来野の想いを知り、松田が話し終えるとすぐに駆け寄って行った。

長年影で見守ってくれていたのだと、如月は知った。


愛、故にした事だと。


そのことに気付いた如月は

もう渡来野しか見えなくなるだろう、と。


渡来野の話で、自分も駒の一つとして
関係を持たされたとわかったときから、


すでに叶うことの無い恋だったと知り、



自分の中で込み上げてくる感情を

押し殺した。

それとは対処的に、
空では星が流れて消えていった。


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