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貧乳ヒメと書かない作家

第7章 言えないキモチ

千春は幼い頃に字を読めるようになってから、それが嬉しくてたくさんの本を読んだ。

小学3年生の頃には
教室の本棚にあった、
「宇宙戦争」という小学生には不釣り合いな分厚い本を読んだし、
多い時で1ヶ月で百冊以上は読んでいたかもしれない。

その中にひとつ、とても印象的な小説があった。

題名こそ、読めない英語に似た字で書いてあったが、千春はそれがとても気に入っていた。


何度も何度も読み返した。


でも小学3年生の千春には題名が読めない。


それで覚えたのは
『桐生彰浩』
という作者名だけだった。


その小説は今の執筆中の桐生の作品とは違い、ある家族のストーリーであった。

両親の仲が良くなかった千春にとって、それは希望を持つことを忘れさせなかった。

葛藤しながらも団結、時に決裂を繰り返しそれでも生きようとする家族のストーリー…


千春はやがてその作者に興味を示すようになったのだ。








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