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迷路…俺の場合 (Ver.N)BL表現有

第3章 マシロ


仕方なく
俺は
自分で自分を汚した
ジンジャエールを
拭きながら

マシロの隣に座り

あの
黒い瞳で
カメラを見つめる
マシロを



眺めた




「ホントにファンなのかよ」




コクッ




マシロは
カメラを拭きながら
俺も見ないまま
うなずいた




「だから俺の親父に

頼んだのか?

俺のところで
働きたいって」




コクッ




クスッ(笑)

まるで
小さな子供が
大事なミニカーでも
見つめるように

マシロは
カメラを見ていた





「せっかくだ

ちっと磨いといてくれ」




おれは
カメラを手入れするための
道具一式を
テーブルに置いた




「え・・・」




マシロは
やっと俺を見て


黒い瞳で


俺を


見て




まばたきもせずに


俺を



見て





「いいんですか?」




って


聞いたんだ







吸いこまれそうな





黒い瞳で






「あ、あぁ・・・

いいから


やってろ。



なんか・・・

晩飯買ってくるから」




マシロの瞳を
見たいのに


マシロに
目を合わせてもらいたいのに


マシロに
見つめられると





なぜか



逃げるように
俺は
視線を泳がせた




その時




今日撮影した

あの瞳を



もう一度
ゆっくり見たい




そう思った

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