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~多重人格パートタイムラヴァー・ガール~

第10章 高校生活②

高校生活はとても静かで穏やかだった。
他の生徒たちは受験のことばかり考えて勉強だけに集中していた。他人にはほとんど興味がなく自分のことばかり考えているようだった。

それはアタシには理想的な環境だった。
アタシがここでしなければいけないのは目立たないこと。平凡で普通でいることだった。
アタシはこの生活を無事クリアーして次のステップにスムーズにいかなければならない。

薬を飲まなくなったアタシの記憶力は戻り、授業だけきいていればいつでもトップが取れるとさえ感じた。しかし、それもあえてしなかった。平均点でいいのだ。

それでも、こんな学校でも時々、男の子たちが(驚くことに女の子まで!)
「付き合って下さい」
的なことを言って近づいてきた。
時には緊張に体をこわばらせて。時には顔を真っ赤にしてこちらの顔も見れずに。時には調子よくヘラヘラと。
アタシは丁重にお断りした。
アタシはそんなことには全く興味が無かった。それどころか、アタシにズカズカと入ってこようとするヤツらに腹が立った。
アナタたちにアタシが今かかえてることが分かるの?
もちろんそんなことは1ミリも言えないけど、アナタたちは大人しく勉強だけしていればいいのよ。
アタシに関わってこないでほしかった。

このまま問題なく高校生活が終えれると思っていた高2の春。

アタシはパニックを起こした。

桜が咲き狂っていた。

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